派遣社員の勤怠管理方法とは？
注意点や便利な勤怠管理システムについて解説

派遣元が勤怠管理する項目

派遣元が勤怠管理する項目としては、賃金や時間外労働、年次有給休暇、そして災害補償が主なものとなります。

1.賃金や時間外労働

派遣元は、派遣社員や派遣先から提出された勤怠管理情報に基づいて賃金を計算します。
具体的には、勤務表に記載された出勤及び退勤時刻をもとにして、時間外労働や休日労働、深夜業務などを含む労働時間を確定します。
それが確認できれば、規定に基づいて賃金を計算するのです。

2.年次有給休暇

また、派遣元は年次有給休暇の管理も行います。雇用日から6カ月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤している派遣社員には年次有給休暇が付与されるのです。
また、労働基準法第39条により10日間以上の有給休暇が発生した従業員に対しては、年5日間以上の取得が義務付けられます。
この義務は派遣元に課せられるため、有給管理が必要となります。

3.災害補償

派遣元は派遣社員を対象として労災保険に加入・適用する責任を負います。
業務中や通勤途中の事故や出来事により派遣社員がケガをしたり、障害が残ったり、死亡したりした場合には、本人や遺族に対して保険金給付の手続きを行います。

派遣先が勤怠管理する項目

派遣先がどのように勤怠を管理すべきかについて解説します。具体的には労働時間、休憩時間、安全衛生面やハラスメントについて説明します。

1.労働時間

派遣社員の労働時間は、派遣元と派遣先の双方に管理の責任が生じます。具体的には、出退勤時間の記録や承認などの勤怠管理は派遣先で行うのです。
また、労働基準法で定められている制限を超えないよう、派遣社員の労働時間が過度なものにならないような日常的な配慮が必要となります。

2.休憩時間

休憩時間については、派遣先が管理の責任を持つことになります。具体的には、派遣社員に適切に休憩時間を与えることが必要です。
労働時間が6時間を超える場合は少なくとも45分、8時間を超える場合は少なくとも1時間の休憩が必要とされています。
なお、この休憩はまとめて取得することも、分割して取得することも認められています。

3.安全衛生面やハラスメント

安全衛生面やハラスメントに関しては、労働災害については派遣元企業が責任を負いますが、実際の業務指示や設備管理は派遣先企業が行います。
したがって、派遣元に責任を問うことが困難な場合、派遣先企業が責任を負うことになるのです。
また、派遣社員の健康に悪影響を及ぼす可能性のある業務や、さまざまなハラスメントへの注意喚起も派遣先の重要な管理業務となっています。

派遣社員の勤怠管理における課題

派遣社員の勤怠管理について、雇用元と勤務先が異なる特性からくる課題があります。ここでは具体的な課題を解説します。

1.勤怠状況を正確に把握しにくい

派遣社員の勤怠管理では、派遣先の実際の就業状況を派遣元が把握することは困難になる傾向にあります。
派遣先で管理される日々の労働時間は、派遣元からはリアルタイムで把握できないため、派遣先や派遣社員からの情報を待つしかありません。
また、派遣社員から申告される勤怠情報のチェックも派遣先に頼る形となります。
このため、遅刻や欠勤、勤務態度などの把握が難しくなり、サービス残業や未払い賃金などのリスクが生じることがあります。

2.勤怠データを一括管理することが難しい

派遣社員が働く環境はさまざまで、それぞれの派遣先によって勤怠データの形式も異なります。
そのため、派遣元が全ての勤怠データを一括で管理するのは手間がかかるという問題があります。
また、派遣社員が増えると派遣元での集計時間も増え、データ入力などで人為的なミスが発生するリスクも増えます。

3.派遣元・派遣先の双方で勤怠管理のやり方が違う場合がある

派遣先企業によって勤怠管理のシステムやルールが異なることは珍しくありません。
打刻時間が正確であっても、派遣先企業の集計ルールに従った勤怠時間と派遣元のルールとでは違いが出てくることがあるのです。
その場合、データを直接給与計算に使用できず、数値の再計算などの手間がかかることになります。

4.タイムカードの保管・管理の手間がかかる

タイムカードや出勤簿を用いた勤怠管理の場合、労働基準法第109条により5年間のタイムカード保管が義務づけられています。
派遣社員の場合、派遣元と派遣先の双方に保管義務が生じるのです。
派遣契約満了後から5年間の保管期限内に、一方的な判断でタイムカードを破棄したり情報開示の要求に応じなかったりすると、法律に違反する危険性があります。

派遣社員の勤怠管理の課題解決に役立つ！
勤怠管理システムとは

派遣社員の勤怠管理について、これまで述べたような課題があることから、それらの課題を解決するための勤怠管理システムが注目されています。
派遣社員の労働状況を正確に把握し、一元管理することで、多様な勤務形態に対応しながら、管理負担を軽減する手段として利用されています。
勤怠管理システムはさまざまな機能を持っており、その一例として以下の4つを紹介します。

一つ目は「派遣社員の管理機能」です。この機能では派遣社員の契約情報の管理や、法定帳票の管理・更新、そしてリアルタイムの稼働状況を把握することができます。
二つ目の機能は「クライアント管理機能」で、派遣先企業との契約書や法定帳票の管理・更新などを行います。そして三つ目の「受注管理機能」では、派遣社員の契約終了日や更新日を管理することが可能となります。
四つ目の「勤怠管理機能」では、派遣社員の勤怠管理や打刻を行うことができます。

これらの機能を駆使することで、多様な勤務形態に対応する派遣社員の勤怠管理がスムーズになり、課題を解決することが可能となるでしょう。
勤怠管理のシステム化は現代の派遣社員の管理において、課題解決のための対応策として注目されているのです。

勤怠管理システムを導入する3つのメリット

勤怠管理システムを導入すると、企業にはさまざまな利点があります。以下で、具体的な3つのメリットを紹介します。

1.勤怠管理業務を効率化できる

効率的な勤怠管理は、派遣社員の勤怠情報を確実に共有し、労働時間をリアルタイムで把握することで実現されます。
勤怠管理システムにより、派遣元と派遣先の間での時間や手間のかかる連絡が大幅に減少し、双方の管理業務が格段に効率化されるのです。
実際に、スマートフォンなどの携帯端末を活用して出退勤の打刻が可能なシステムがあります。
これを利用すれば、場所を選ばずに即座に打刻が可能となります。
さらに、勤務時間の集計や有給管理簿の作成を自動化することで、これまで手作業で行っていた作業を大幅に削減し、その時間をより生産的な業務に割くことが可能となるのです。

2.勤怠に関する法律違反の防止に役立つ

法律遵守は企業にとって最も重要な課題の一つです。特に派遣社員の勤怠管理においては、派遣先と派遣元の間で労働状況を正確かつタイムリーに共有することが必須となります。
もし、この情報共有が不十分な場合、労働時間の超過や有給休暇の取得漏れなどの問題が生じ、最悪の場合、法律違反となりうるのです。
勤怠管理システムを導入すれば、それらの問題が発生する前に警告を発するように設定することも可能です。
これにより、問題が生じる前に迅速に対処し、法律違反を未然に防ぐことが可能となるのです。
これは、企業の法律遵守を支援するだけでなく、企業としての社会的な信頼を高めることにも寄与します。

3.勤怠データや契約状況を一括管理できる

派遣社員の作業内容や期間はそれぞれの契約によって異なります。
これらの異なる要素を一元管理することは理想的です。
ところが、把握すべき人数が多ければ、手作業による個別の情報の正確な管理は困難を極めます。
そのような状況に対して、勤怠管理システムを導入することで、これらの契約書類や帳票などを一括管理するハードルが下がるのです。
結果として、複雑な管理業務が大幅に簡素化され、業務負担を軽減し、効率性を高めることができます。
また、データの一元化により、必要な情報を迅速に検索し、取り出すことが可能になります。
この迅速性は、企業の労働効率を向上させるだけでなく、派遣社員の働きやすさを向上させる上でも有効です。

勤怠管理システムを導入する際のチェックポイント

勤怠管理システムの導入は派遣業界でも非常に重要な取り組みであり、その選定には細心の注意が必要です。必要とされる機能を把握し、必要なチェックポイントを確認することで、適切なシステムを選び出すことが可能になります。
ここでは、それらのチェックポイントを具体的に3つに分けて説明します。

1.勤怠管理に必要な機能が備わっているか

導入を検討する勤怠管理システムには、派遣元及び派遣先が求める機能が備わっているかについてしっかり確認することが重要です。
まず、打刻やシフト作成、有給休暇・残業の申請といった基本的な機能が挙げられます。
また、各社のニーズに応じた特殊な要求まで、各システムがどの程度対応できるかを見極めることも求められます。
ここで、特に注目すべきは打刻機能です。出退勤の打刻方法は企業ごとに異なるため、それに対応する多様な打刻方法を提供するシステムが望ましいでしょう。
一例として、GPSを利用した打刻機能が挙げられます。これにより、正確性の担保や不正の防止にもつながります。
また、派遣先の設備環境に左右されずに打刻が可能となることも重要なポイントです。

2.操作性やサポート体制に問題はないか

次に重要なのが、システムの操作性とサポート体制です。勤怠管理システムは日々の業務に深く関わるものなので、使いやすさは重要なポイントとなります。
使いにくいシステムは、それ自体が新たな工数の増加を招きかねません。
また、法令の改正などに対応したシステムの更新や、運用上の問題に対する対応が迅速に行えるかどうかも、システムを選定する際の大きな要素となります。
つまり、システムが持つ機能だけでなく、それを適切に利用し続けるためのサポート体制も重視すべきなのです。

3.外部サービスとシステム連携ができるか

システム連携は、効率的な勤怠管理のために非常に重要な要素となります。
特に、外部のサービスとのシステム連携ができるものを選ぶと、業務の効率化やコスト削減に大きく寄与します。
この点は、人事や経理部門の業務負担を大幅に軽減できるため、組織全体のパフォーマンス向上につながります。

具体的には、給与計算システムとの連携が可能な勤怠管理システムを選ぶと、給与計算業務をよりスムーズに、また、間違いなく行えるでしょう。
これにより、業務の手間を省き、人間が発生しやすい計算ミスも防げるため、最終的に企業の業績向上につながる可能性が高まります。

このようなシステム連携の機能を活用することで、派遣社員の勤怠管理だけでなく、企業全体の業務効率化を達成することが可能になるのです。
そのため、勤怠管理システムを選ぶ際には、外部サービスとのシステム連携が可能かどうかをチェックすることが大切なのです。

派遣社員の勤怠管理なら
「スマレジ・タイムカード」におまかせ

最後に、派遣社員の勤怠管理に適したシステムとして、「スマレジ・タイムカード」をご紹介します。
スマレジ・タイムカードは、給与計算や休暇管理、シフト管理、日報、プロジェクト管理など、勤怠管理を超えた多岐にわたる管理業務をサポートするシステムです。
このシステムを利用すれば、従業員全員をクラウド勤怠システムで一元管理することが可能となります。
また、アプリやウェブによる出退勤の打刻やGPS記録も可能で、複数の拠点の出勤状況も遠隔で把握できるため、派遣社員の勤怠管理にも最適です。

さらに、シフト作成やマイナンバーの管理、年末調整や給与計算など、人事管理全般をまとめて行うことができるのが特長です。
なお、法改正については機能アップデートにより対応しています。
給与計算については、外部サービスとのシステム連携も可能で、給与の計算・振込がより簡単に行えるという利点も備えています。
これらの機能を駆使し、派遣社員の管理業務を効率化しましょう。

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