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勤怠管理の実態は
労働基準監督署に調査される!
臨検の内容や対策のポイントとは

長時間労働や残業代の未払いなど、企業と労働者を取り巻くトラブルは珍しくありません。
そこで行われているのが、労基署(労働基準監督署)による立ち入り調査です。勤怠管理の内容などを細かく調べられ、法令に違反していると厳しい処分を下される恐れもあります。立ち入り検査に慌てず対応するには、検査内容を把握したうえでの準備が必要です。
こちらのページでは、労基署が行う立ち入り調査について詳しく解説します。

労基署とは?

労基署とは「働く人びとの安心と安全を守るため」を目的とした、全国各地に300署以上ある厚生労働省の出先機関で、正しくは労働基準監督署といいます。主な役割は、企業に立ち入り調査を行い、労働基準法や労働契約法など労働にかかわる法律を守らない企業を取り締まることです。労基署には、労働にかかわる法律に違反した場合に限り、企業に対して警察のような捜査権や逮捕権を与えられています。労基署は立ち入り検査して違反が認められた場合、企業に対し是正勧告などの指導を行うのが一般的です。

指導を受けたにもかかわらず、その内容を改善せずに度重なる是正勧告を受けた場合、刑事事件として任意捜査や捜索、差押え、逮捕などの強制捜査が行われてしまいます。したがって、労基署の立ち入り検査で指摘されたことは、確実に改善する必要があるのです。

勤怠管理をチェックする労基署の
立ち入り調査(臨検)とは?

労基署の立ち入り検査は「臨検監督」と呼ばれる調査です。
ここでは、勤怠管理をチェックする「臨検監督」について、目的や種類、流れなどを解説します。

労基署が立ち入り調査を行う目的

労基署による立ち入り検査「臨検監督」を行う目的は、労働基準法や労働安全衛生法、最低賃金法などの法令に基づき、従業員の雇用や賃金、安全や健康などが守られているか確認するためです。立ち入り検査は、長時間労働やサービス残業になりやすい業界や業種、36協定の特別条項の届け出が多い企業は調査対象になりやすい傾向があります。また、従業員やその家族などからの情報提供によって、調査対象になるケースも少なくありません。インターネットなどから匿名で情報提供できるため、退職した元従業員からの告発も増加傾向にあります。
具体的な調査内容は、出勤簿や賃金台帳、従業員の証言などを照合し、労働時間や有給休暇の取得状況、賃金の支払い状況、労働条件、安全衛生管理などに問題ないかです。法令違反や改善点が認められた場合、是正勧告書や指導票の交付を受けます。改善が見られないときや悪質な場合、業務停止命令が出たり企業トップが逮捕されたりすることもあるので注意が必要です。

労基署の立ち入り調査の種類

労基署の立ち入り調査には「定期監督」「申告監督」「災害時監督」「再監督」の4種類があります。
「定期監督」は、労基署がその年度の行政方針や監督計画に基づき、任意の企業を選んで行う調査です。原則的には抜き打ちですが、予告され調査日を打ち合わせたうえで行われるケースもあります。「申告監督」は、従業員や退職者などから法令違反の通報があった際に、真偽を確かめるために行う調査です。これには、通報者を保護するために定期監督を装う方法と、通報があったことを伝えて呼び出す方法の2種類があります。「災害時監督」は、一定規模の労働災害が発生した際に、原因究明や再発防止のために行う調査です。悪質なときや故意の違反だった場合は、業務停止命令が出されるケースもあります。「再監督」は、定期監督や申告監督、災害監督で何か問題が見つかった際に、是正できているかを確認する調査です。また、期日までに是正報告書が提出されなかった場合や、是正勧告書に応じないときに行われます。是正勧告された内容は、改善と報告が必要です。再監督で再び法令違反が認められた場合、送検される可能性もあるので注意しましょう。

労基署の立ち入り調査の流れ

労基署の立ち入り調査は「予告」「調査」「是正勧告書などの交付」「是正報告書などの提出」という流れです。労基署の立ち入り調査は、現状を確実に把握するために原則抜き打ちで行われます。ただ、担当者の不在や書類の漏れを防ぐため、実際には電話や書面で予告し、日程を調整して行われるのが一般的です。調査日になると通常2名の監督官が身分証を提示したうえで、帳簿のチェック、責任者や従業員への聴き取り、口頭での改善指示などを行います。
調査した結果、法令違反や改善すべき問題点があった場合に交付されるのが、是正勧告書や指導票などです。これらの書類は調査日に受け取るケースもありますが、多くの場合は責任者が後日労働基準監督署に出頭して交付されます。是正勧告書とは法令違反を指摘する書面で、指導票は法令違反ではありませんが改善すべき項目を指摘する書面です。期日が設けられているので、それまでに法令違反などの問題点を改善し、是正報告書を提出する必要があります。その後、報告書の内容通り改善されたか、確認の再監督が行われる流れです。

労基署の立ち入り調査を乗り切る
対策ポイント

労基署の立ち入り調査を乗り切るポイントは「協力的な姿勢」「日頃から調査を意識した環境づくり」「正確な勤怠管理の徹底」が重要です。

3つのポイント

協力的な姿勢で対応する

労基署の立ち入り調査には、協力的な姿勢で対応することが重要です。労基署の立ち入り調査は、労働基準法や労働安全衛生法に基づいたものなので、企業が拒否することはできません。立ち入り調査を無視したり拒否したりした場合は、罰則が科される可能性や、監督官の心証を悪くして調査が厳しくなる恐れもあります。どうやっても拒否できる調査ではないので、立ち入り調査が来たときは快く対応することが大切です。帳簿類をすぐ提出するなど、できるだけ協力的な対応を心がけましょう。監督官から指摘された内容に対し、根拠のない反論などをしても意味はありません。指摘された内容には、改善する意思があるという姿勢を見せることがポイントです。

普段から調査でチェックされる帳簿を整理しておく

立ち入り調査に備え、普段から調査でチェックされる帳簿を整理しておくのもポイントです。労基署の立ち入り調査では、労働者名簿や賃金台帳、出勤簿、タイムカードなどさまざまな書類の提出を求められます。法令で定められた内容が正しく記載されていなかったり、そもそも帳簿がなかったりすると、是正勧告や指導の対象になりかねません。調査の予告があってから準備したり指摘されてから用意したりでは遅いので、調査の有無にかかわらず普段から定期的に帳簿類を確認し、不備がないようにしておくことが大切です。

正確な勤怠管理を徹底する

立ち入り検査を乗り切るには、正確な勤怠管理の徹底がポイントです。厚生労働省「令和2年労働基準監督年報」では、約11万6000件実施された定期監督のうち、違反は約8万件で70%近い割合としています。そのうち、約24%の企業に労働時間に関する違反、約21%の企業に割増賃金に関する違反がありました。これらの違反を防ぐには、勤怠管理システムの導入が効果的です。勤怠管理システムを導入すれば、労働時間の客観的な把握や集計、割増賃金の計算、法改正に対応したアップデートなどをシステムが行うため、ミスのない正確な勤怠管理の環境整備が行えます。また、外部システムと連携できる勤怠管理システムを選べば、業務効率化にもつなげられるでしょう。

正しい勤怠管理を行えば
労基署の調査は怖くない!

普段から正しい勤怠管理を行っていれば、突然訪れる労基署の立ち入り調査も怖くありません。労基署の立ち入り調査は、労働者の権利を守るために行われています。違反が見つかると、厳しい処分が下されるケースも少なくありません。社会的な信用を失う恐れがあるため、勤怠管理システムを導入して日ごろから正確な勤怠管理を徹底しましょう。

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