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企業会計について徹底解説!
目的や種類、原則をしっかり理解しよう

企業会計について徹底解説!目的や種類、原則をしっかり理解しよう

企業会計は、企業の利益向上や安定した営業活動などを行うために重要な会計手続きです。しかし、「企業会計についていまいち理解できていない」「なにが目的で会計処理をしているのかわからない」という人もいるかもしれません。

本記事では、企業会計について詳しく解説します。企業会計の3つの分類や遵守すべき原則などに触れているので、企業会計について理解を深めたい人はぜひチェックしてください。

この記事の目次

企業会計とは?

企業会計とは?

「企業会計」と聞くと、なんとなく企業のお金に関わるものをイメージする人が多いでしょう。企業会計は、事業を行って利益を出している営利企業が実施する会計の手続きのことです。

はじめに、企業会計とはどのようなものなのか解説します。

企業会計の意味

企業会計とは、一般的に営利企業に適用される一連の会計手続きのことです。一定のルールに基づいてお金の流れを整理し、企業活動の成果と現状を関係各所へ報告することを目的としています。すべての企業が同じルールのもと会計手続きを進め、金融機関や投資家など外部の利害関係者が企業ごとの業績を比較しやすくするのも目的のひとつです。

商品の仕入れや販売、投資や資金調達など、企業活動を行う上で日々お金が動いています。そのお金の動きを整理して「どのくらいの利益が得られたのか」「損失はあるか」「どのくらいの資産があるのか」などを、一定のルールに基づいて客観的に数字として表す手続きが企業会計です。

企業会計の仕組み

先ほど紹介したとおり、企業会計は一定のルールに基づいた手続きです。この「一定のルール」として定められているのが「企業会計原則」で、原則としてすべての会計処理で従うべきとされています。

企業会計原則は、以下の4つから構成されています。

  • 一般原則
  • 損益計算書原則
  • 貸借対照表原則
  • 注解

上記4つについて、以下で詳しくみていきましょう。

一般原則

一般原則には、企業会計において守るべき基準や原則が定められています。企業会計では損益計算書と貸借対照表という決算書類を作成する必要があり、一般原則はいずれの決算書類にも共通する原則を記したものです。企業会計原則4つの構成要素のなかで、最も上位の概念とされています。

一般原則は7つの原則から構成されており、それぞれ企業会計で遵守すべき考え方が詳しく定められています。7つの原則については本記事の後半で詳しく紹介しているので、併せて確認してください。

損益計算書原則

損益計算書原則は、決算書類のひとつである損益計算書を作成する際の基準を定めたものです。損益計算書は収益と経費から求めた利益を記載する書類で、その期の経営成績を示すために作成します。このときに必要となる費用や収益の計上基準や表示方法などを定めたのが、損益計算書原則です。

その期の利益を計上するには、費用や収益が発生したタイミングで正確に会計上の処理をしなければなりません。損益計算書原則は、このように費用や収益が発生した時点で計上すべきとする「発生主義」を原則としています。

貸借対照表原則

貸借対照表原則には、その名のとおり貸借対照表を作成する際の基準が定められています。貸借対照表とはある時点での企業の保有資産や負債などの一覧で、企業の財政状態を示す重要な決算書類です。貸借対照表原則では、資産や負債の会計処理方法や表示方法の基準を示しています。

貸借対照表を作成する際、資産と負債を相殺して記載すると正しい財政状態が把握しづらくなり、外部の関係者の正しい判断を妨げたり不利益につながったりするかもしれません。このような事態を防ぐため、貸借対照表原則は資産と負債を相殺せずに総額で記載すべきとする「総額主義」を採用しています。

注解

注解には、ここまで紹介してきた3つの原則に関する補足と、「重要性の原則」について記載されています。重要性の原則とは、「重要性の低いものについては、厳密な会計処理ではなく簡便な方法で会計処理を行ってもよい」とする原則です。ここでいう「重要性の低いもの」とは、利害関係者が経営状況を判断するときにあまり影響を与えないものが該当します。

例えば消耗品の購入費は毎期の変動が少なく、金額も大きくないことが予想されるため、厳密な会計処理を行わなくても企業の損益にそれほど影響は与えません。このような費用については、簡便な処理が認められています。

企業会計の種類と目的

企業会計の種類と目的

企業会計は、大きく以下の3つに分類されます。

  • 財務会計
  • 税務会計
  • 管理会計

企業会計を理解する上で、これら3つの違いを把握しておくことはとても重要です。種類によって目的が異なるため、以下でそれぞれの会計の特徴について解説します。

財務会計

財務会計は、銀行や投資家など外部の利害関係者向けの会計手続きです。損益計算書や貸借対照表などを作成し、自社の経営状況を社外に公開することを目的としています。

経営状況を外部の利害関係者に公開するのは、投資や融資をしてもらうためです。投資家や銀行が投資や融資をするかどうか判断するには、その企業の経営状況を正しく把握する必要があります。例えば、順調に業績が伸びている企業なら積極的に投資したいと思う投資家が多いでしょう。反対に、負債が多く利益も伸びていない企業は融資額を回収できないリスクが高いため、銀行は融資を控える傾向にあります。

「投資や融資を受けるために経営状況をよく見せたい」という考えから実態とは異なる決算書が作成されないように、財務会計では企業会計原則に基づいた決算書類の作成が義務付けられています。

税務会計

税務会計は支払うべき税金を計算するための会計処理で、国や税務署への情報提供という位置づけの会計です。財務会計が外部の利害関係者に経営状況を報告するためのものであるのに対し、税務会計は税金の計算のために行うもので、目的が大きく異なります。

「収益や費用を正確に計算する」という考えは、財務会計も税務会計も共通しています。ただし、財務会計では「利益を多く見せること」を禁止するという概念であるのに対し、税務会計は税金の過少申告を防ぐために「利益を少なく見せること」を禁止しており、視点が異なります。

税務会計は、その名のとおり税金を正しく納めるための会計だと覚えておきましょう。

管理会計

管理会計は、自社の経営状況を把握して今後の意思決定などに役立てるための会計です。財務会計や税務会計が社外への情報共有を目的としているのに対し、管理会計は社内向けの会計処理という位置づけになっています。内部資料のため法律に基づいたルールや決まった様式などはなく、社外への報告義務もありません。

新規事業への参入や既存事業の撤退、設備投資などの経営判断を誤らないためには、自社の経営状況をしっかり把握しておくことが重要です。そのためには、財務会計や税務会計のように年に1回だけでなく、短期間の傾向を掴むために月単位や週単位で集計を行うケースもあります。

管理会計は企業の成長や安定した営業活動のために欠かせない会計で、特に重要度が高いといわれています。

企業会計の7つの一般原則

企業会計の7つの一般原則

本記事の前半で紹介したとおり、企業会計原則の一般原則には、さらに細かい7つの原則が定められています。一般原則は企業会計原則のすべてに共通する考え方が記されており、ここで紹介する7つの原則は損益計算書や貸借対照表の作成時にも遵守すべき内容です。

一般原則は、以下の7つの法則から成り立っています。

  • 真実性の原則
  • 正規の簿記の原則
  • 資本取引・損益取引区分の原則
  • 明瞭性の原則
  • 継続性の原則
  • 保守主義の原則
  • 単一性の原則

それぞれどのような原則となっているのか、以下で詳しくみていきましょう。

真実性の原則

真実性の原則は、「不正や虚偽のない真実の決算書を作成する」という原則です。企業会計原則のなかで、最も重要な原則とされています。例えば「投資や融資を受けるために収益を本来より多めに計上する」などは、決して許されません。

会計基準では複数の処理方法が認められているケースがありますが、実態を適切に反映できない方法を選択するなども真実性を損なう要因となります。数字を改ざんしないことはもちろん、会計処理方法の適切な選択も重要です。作成する決算書類の種類に関わらず、適切で虚偽のない会計処理が求められます。

正規の簿記の原則

正規の簿記の原則は、「すべての取引を正規の方法で処理する」という原則です。正規の方法とは、一般的に複式簿記を指します。会計原則に「複式簿記を使用」と明記されているわけではありませんが、複式簿記は網羅性・立証性・秩序性を備えており、正規の簿記として認められている方法です。

網羅性・立証性・秩序性とは、それぞれ以下のような意味です。

  • 網羅性:抜け漏れなくすべての取引が記録されている
  • 立証性:すべての取引が客観的に立証できる
  • 秩序性:すべての取引が継続的かつ体系的に秩序を持って記録されている

例えば、領収書をなくした場合は取引が客観的に立証できないので、立証性を欠くとして会計処理はできません。

資本取引・損益取引区分の原則

資本取引・損益取引区分の原則は、「資本取引と損益取引を明確に区別して会計処理を行う」という原則です。資本取引とは、自己株式の取得や売却、余剰金の配当など、企業の資本が増減する取引を指します。一方、損益取引とは、商品の販売や備品の購入など、資本取引以外のお金の流れを指します。

資本取引と損益取引は性質が全く異なり、両者を混合して取り扱うと利益操作が可能となってしまいます。利益隠しなどの不正を防ぎ、利害関係者が正確に経営状況を把握するために、資本取引・損益取引区分の原則が定められています。

明瞭性の原則

明瞭性の原則は、「外部の利害関係者が理解しやすい、明瞭な決算書類を作成する」という原則です。損益計算書や貸借対照表は金融機関や投資家、株主など外部の利害関係者に自社の経営状況を正しく把握してもらうための資料で、わかりにくい表記や誤解を生む表現などがあってはなりません。

勘定科目の名称をわかりやすいものにしたり、会計方針の注記を入れたりして、社外の人が見ても正しく理解できる決算書類の作成が求められます。これらに加えて、火災のような重大な損害や企業の合併など、次期以降に重要な影響のある事象があった場合は、それを開示することも定められています。

継続性の原則

継続性の原則は、「一度採用した会計処理の方法を継続して適用すること」という原則です。使用が認められている会計処理方法は複数ありますが、毎期違う会計処理方法を使用すると期ごとの比較が難しくなり、利益操作も可能になってしまいます。外部の利害関係者の誤解や混乱を招く原因となるため、会計処理の方法を不用意に変更しないように継続性の原則を遵守しなければなりません。

ただし、正当な理由がある場合は処理方法の変更が認められます。やむを得ない理由で会計処理の方法を変更する場合は、その旨を決算書類に注記しましょう。

保守主義の原則

保守主義の原則は、「企業が不利益を被る可能性がある場合、保守主義による会計処理を適切に行う」という原則です。保守主義による会計処理とは、収益は慎重に、費用や損失は早めに漏れなく計上する会計処理のことを指します。

例えば、取引先の倒産で売掛金が回収できない可能性が高い場合、事象が確定する前でも損失処理が可能です。早い段階で損失を公開することで、企業の経営状況を利害関係者に周知できて会計の健全性が保たれます。ただし、過度な保守主義は利益操作につながるため、企業にとって不利な影響があると認められるときにしか適用されません。

単一性の原則

単一性の原則は、「会計帳簿を複数作成してはいけない」という原則です。株主総会や金融機関への提出、税務申告など、目的に応じて異なる資料を作成することは可能ですが、もととなる会計帳簿はひとつでなければなりません。

例えば、「株主用の会計帳簿は利益を大きく、税務署用の会計帳簿では利益を小さくする」というような、目的ごとに複数の帳簿を使い分ける方法は、当然ながら禁止されています。資料の形式は目的ごとに変えても問題ありませんが、もととなる帳簿は共通である必要があります。

企業会計を理解して円滑に実施しよう!

企業会計を理解して円滑に実施しよう!

企業会計は財務会計・税務会計・管理会計の3つの種類があり、それぞれ目的が異なります。いずれも企業にとっては重要な内容のため、違いや目的をしっかり理解しておきましょう。

企業会計には共通する原則が定められており、正確に会計処理を行うにはその原則を正しく理解しておかなければなりません。より円滑に企業会計を実施するために、本記事で紹介した内容を参考にしてください。

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