三交代制勤務とは？
従業員にとってのメリットや
導入時の注意点を解説

三交代制勤務を導入している主な職種

三交代制勤務を導入している代表的な業界が、24時間営業のコンビニエンスストアや飲食店です
飲食店では、ファミリーレストランや定食屋などのチェーン店が多い傾向がみられます。
ただ、これらの業界の大半は、アルバイトやパートを雇用しての運営が基本です。正社員や、それに準ずる従業員のみが三交代制勤務の対象となっているケースがほとんどでしょう。

飲食店や小売店以外では、24時間稼働している工場も、三交代制勤務が導入されている代表的な職場です。
工場の一部では、製造設備の稼働と停止の繰り返しによりコストが余計にかかってしまいます。
三交代制勤務導入の主な狙いは、常に稼働可能な状態の維持によるコストカットです。
同時に、生産性や稼働効率の向上を目的として導入している工場も少なくありません。

病院や介護施設でも、三交代制勤務が導入されています。患者や入所者に緊急の事態が生じた際には、即座の対応が求められるためです。
飲食店や工場などでは、日勤・準夜勤・夜勤のそれぞれの担当従業員が固定されているところも多々あります。
一方で、病院や介護施設では、出勤時間帯を定期的に入れ替える三交代制勤務制度の導入が一般的です。
民間企業だけではなく、自衛隊や警察、消防など一部の公務員でも、三交代制勤務は導入されています。
病院や介護施設のように、いずれも万が一の事態に備えなければならないためです。

三交代制勤務によって得られる従業員側のメリット

三交代制勤務は24時間稼働するために必要で、従業員に対して負担を強いる制度と思われがちだが、従業員にとってのメリットも少なからずあることを知っておきましょう。ここでは、三交代制勤務によって従業員にもたらされるメリットについて解説します。

1.残業があまり発生しない

三交代制勤務は、3つの時間帯に分け従業員のシフトを組む制度です。次の時間帯の従業員が出勤したら作業を引き継ぎ、担当が入れ替わります。
勤務時間が明確に定められているので、残業が発生しにくい勤務形態といえるでしょう。
ただ、引き継ぎに手間取ると、次の従業員がスムーズに作業へと入れず、営業や運営にも支障が出かねません。

業務内容にもよりますが、勤務時間の30分前には、次の時間帯を担当する従業員に引き継ぎを行える体制を整えておく必要があります。
特に、日によって業務内容の詳細が変わったり、臨機応変な対応が必要であったり、顧客に長時間対応しなければならなかったりする店舗や職場は要注意です。
残業が発生しないよう制度や環境を整えるのも、三交代制勤務導入の際のポイントとなります。

注意点はあるものの、労働時間が明確に決められている点は、多くの従業員にとってメリットといえるでしょう。
出勤と退社の時間が定められていれば、プライベートの計画も立てやすくなります。
プライベートを充実させたい従業員にとって、三交代制勤務は比較的働きやすい制度です。
もちろん、作業の境目が曖昧であったり業務に遅延が発生したりといった理由で、残業が発生する可能性もゼロではありません。
この点に関しては、従業員から不満が噴出しないよう、経営者や運営者による適切な対処が不可欠です。

2.日中の時間を有効に使える

三交代制勤務は、日中の時間帯を有効に使いやすい点もメリットです。
例えば、日勤であれば夕方、準夜勤であれば出勤前、夜勤であれば翌朝といったように、どのシフトの担当でも、日中の時間帯に空きが生じます。
一般的な会社員のように日中に働いていると、市役所や病院へと行くために平日は仕事を休まざるをえない人も少なくありません。
もちろん、日勤の時間帯にもよりますが、早朝出勤であれば役所や病院がまだ対応している時間に仕事を終えられるでしょう。
三交代制勤務で働く人は、日中の時間が確保しやすいので、わざわざ有給を使う必要も避けられます。

夜勤シフトの場合は、その前の日中が休みであったり、夜勤明けも休みとなったりするケースが少なくありません。
平日にほぼ1日休みが確保できるため、休日だと混雑している観光地やテーマパークへと遊びに行ったり、買い物をしたりするなど、空いている時間を有意義に活用可能です。
これも勤務先によるものの、一般の会社勤めの人よりも日中にまとまった時間がとりやすいのは確かでしょう。
家族がいれば、子どものイベントなどに参加しやすくなる点も大きなメリットです。

3.通勤ラッシュを避けられる

通勤ラッシュを避けられるケースが多い点も、三交代制勤務のメリットです。
当然ながら、担当する時間帯にもよります。
しかし、日勤は早朝出勤のところも多く、もっとも電車が混む時間帯の利用は避けられるでしょう。
準夜勤も午後から出勤するケースが多いため、やはり通勤ラッシュを避けられます。
夜勤であれば、むしろ空いている電車に乗って通勤できる場合も少なくありません。
実際の混雑具合は、利用する公共機関や、勤務先へ行くのに上り電車に乗るのか下り電車に乗るのかなどにもよります。
時間帯によっては混む時間帯と被ってしまうケースもあるでしょう。
しかし、多くの従業員にとっては混雑のピークを避けられる可能性があります。

朝と夕方のもっとも混む時間帯を避けて通勤できれば、仕事を始める前から憂鬱な気分になってしまうこともありません。
ストレス軽減にもつながり、業務にも集中しやすくなります。電車通勤の従業員はもちろん、自動車通勤の人の場合でも、渋滞などを避けやすくなるでしょう。

三交代制勤務を導入する際の3つの注意点

三交代制勤務は経営側にとっても従業員側にとっても、メリットのある勤務形態です。しかし、導入の際には気をつけなければいけないポイントもいくつかあります。ここでは、そのなかでも代表的な注意点を3つ解説しましょう。

1.従業員の給料が高額になりやすい

三交代制勤務は、準夜勤や夜勤といった深夜帯に従業員に働いてもらうことになる制度です。
そのため、深夜の時間帯に働く従業員の給与には、深夜労働手当が加算されます。結果的に、従業員への給与が高額になりやすく、人件費も増えてしまいかねません。
労働基準法では、22時から翌朝5時まで勤務した従業員に対して、基本給の25%の深夜労働手当をつけなければならないと定められています。

例えば、時給1200円の従業員が23時から翌朝5時まで働いたとすると、6時間分が深夜手当の対象となり、1回の勤務ごとに1800円が上乗せされます。
説明したように、基本給に対するパーセンテージで深夜労働手当が決められる点は非常に重要です。
基本給が高いほど上乗せされる額も大きくなるため、経営者は給与の計算を丁寧に行わなければいけません。

2.従業員が体調を崩す恐れがある

日勤・準夜勤・夜勤の各担当従業員を定期的に入れ替える三交代制勤務の場合、従業員の生活リズムが不規則になりかねません。
適応できるかどうかは従業員ごとに異なりますが、不規則な生活リズムが続くことで、体調を崩すリスクは高まるでしょう。
日によって勤務時間が異なるため食事や就寝のタイミングが一定ではなくなり、その影響で時間や曜日の感覚が狂ってしまうのを避けるのは困難です。
特に、三交代制勤務で働き始めたばかりの人には大きな負担がかかるといわれています。勤務時間の変化に慣れるまでは大変な思いをする従業員が多いでしょう。

日中に時間が確保しやすいメリットがある一方で、夕方や夜に出勤し働かなければなりません。
家族や友人との予定を合わせにくくなる従業員もおり、それが精神的なストレスとなるケースも考えられます。
ストレスにあまり強くない人であれば、やはり体調不良へとつながってしまうでしょう。
三交代制勤務の導入の際には、従業員の体調管理にも十分に気を配る必要があります。
状況に応じて従業員を休ませたり、あるいは、シフトを変更したりするなどの柔軟な対応も欠かせません。

3.シフトを組む際には工夫が必要

担当の時間帯を入れ替える三交代制勤務でシフトを組む際には、「夜勤が連続する」「勤務時間の間隔が短い」といった状況の回避が欠かせません。
特定の従業員に負担がかかるようなシフトは避けましょう。
また、遅番の次の日に早番を任せない、夜勤の翌日は休みとするなどの基本も守る必要があります。
一度組んだシフトであっても、体調が悪そうな従業員がいれば、シフト変更も検討しなければいけません。
経営側には、柔軟な対応によって従業員の健康を守りつつ、業務の効率化などへとつながるシフトの構築や工夫が求められます。
特に、従業員への配慮は重要です。体力の限界まで働かせて辞めざるをえない状況へと追い込まないように心がけましょう。
従業員ともコミュニケーションをとりながら、可能な限り長く健康に働けるようなシフト作成を目指すのも、経営者や運営者の大切な仕事です。

勤怠管理システムでシフト作成の負担を軽減しよう！

二交代制シフトは、24時間体制で稼働できる点が強みです。
ただし、メリットがある反面、法定労働時間を意識しておく必要があります。
法令を遵守しながら従業員一人ひとりに合わせた柔軟なシフトを組もうとすれば、それだけシフト作成の負担は大きくなります。
勤怠管理システムを上手に活用し、シフト作成や勤怠管理の負担を軽減しましょう。